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死に逝く少女と看取った少女

対象楽曲:「輪廻の砂時計」「美しきもの」

「美しきもの」と「輪廻の砂時計」。この2曲は、死にゆく「ロラン」とその最後を看取った「モニカ」という二人の姉妹の触れ合いをそれぞれの視点から見た歌となっていると見受けられます。
簡単に書けば、それぞれの視点は以下の通りです。

・輪廻の砂時計 → 死に行くロラン(妹)の視点
・美しきもの   → 看取ったモニカ(姉)の視点


■二つに共通するメロディー 繋がる歌 「美しきもの」では冒頭に「君の大好きなこの旋律」という部分がありますが、この部分の旋律は「輪廻の砂時計」の「La La La La La La La La La La...」という部分と同一の旋律となっています。

そして、「輪廻の砂時計」では一人の少女が「朽ちてゆく世界で 零れ落ちるまでの詩を綴る」とあり、しに行く少女(ロラン)が生前、何かの詩を残そうとしていたことが見てとれます。そして、彼女は「笑いながら 歌いながら あなたの腕の中」とある通り、最後は歌いながら最後を迎えます。

その後、姉であったモニカは彼女の事を思い出しながら、その弔いのために彼女が生前よく歌っていたメロディーを「口風琴」(歌ではアルモニカという別の楽器に聞こえるが、ジャケットからはハーモニカだと思われる、また曲中の該当部分で流れる音はハーモニカの音)で吹いていた、というのが「美しきもの」の物語だと見受けられます。

つまり、時間の流れとしては「輪廻の砂時計」 → 「美しきもの」となります。「輪廻の砂時計」でロランが死に、「美しきもの」でモニカがそれを追憶しているという流れです。

ここで、何故この少女は死に際して"笑う"ことができたのでしょうか。
それはこの曲名と、歌詞にあるとおり、「輪廻」を信じていたからにほかなりません。彼女は必ず生まれ変わって自分が再び愛する姉の元へ戻ってこれると信じているのでしょう。

それ故にこそ「美しきもの」において、「心配ないよ」と姉に言ったのだと思われます。つまり「必ず戻ってくるから心配ないよ」という事だったのではないでしょうか。

■窓枠の画布。その風景画
「其れは――」から続く4節の、春夏秋冬をイメージさせる歌詞の部分。ここで、"其れ"がかかる単語は何でしょうか。これは、その直前にでてくる"風景画"の事だと考えます。

つまり、この4節はロランが見た風景画が4種類であることを示しています。

「風が運んだ...淡い花弁...春の追想... 綺麗な音...歌う少女... 鳥の囀り」
「蒼を繋いで...流れる雲...夏の追想... 綺麗な音...謡う少女..蝉の時雨....」
「夜の窓辺に...微笑む月...秋の追想... 綺麗な音..詠う少女...虫の羽音...」
「大地を包み...微睡む雪...冬の追想... 綺麗な音...詩う少女...時の木枯...」

これは、四季折々の情景を歌ったものであり、このことから"風景画"というのはつまり、実在する絵ではなく窓から見える風景である、と考えられます。この時、病床の妹(ロラン)のために歌う姉(少女=モニカ)も含めて"風景画"として一枚の絵として捉えているのだと見受けられます。
ここで「うたう」という言葉が4種類の感じで書かれていますが、これは例えばロランが作ったメロディーを口ずさむ、ハーモニカで吹いてあげる、あるいは単にロランに話を聞かせてあげる、などモニカの様々な行動を「うたう」と表現しているのだと解釈します。

つまり、ロランが綺麗だといったのは、風景だけではなく、同時にモニカのことでもあるのです。

最後にロランは死後、転生することは叶わなかったのかもしれません。「彼らは待ち続ける。輪廻が砂時計を反転させる瞬間を」と「輪廻の砂時計」に続く歌、「珊瑚の城」にあるように…

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