- 2007年02月13日 15:32 屋根裏と檻の中にて
対象楽曲:「屋根裏の少女」「檻の中の遊戯」「檻の中の花」「yaneuraroman」
屋根裏の少女から続くMichele Malebranche三部作。+Roman第2のボーナストラックであるyaneuraroman。この記事ではそこについて語ります。
この物語は、「檻の中の花」で語られているように、3つのステージに分けられます。まずは、全ての事件が現実の中で連続しているという仮定のもとに各ステージごとに考察します。
「私…お友達が欲しいな…」
彼女は、キャンパスに対して望む「お友達」を描き、それを現実化してしまったのではないでしょうか。それは、あるいは狂気を孕んだ異形だったのかもしれません。それ故に、狂人に堕ちた父親でさえ、娘の異常さに気がつき、娘を殺そうとした。
…あるいは、父親は狂人などではなく、最初からミシェルに潜む異能に気がついていたのか。
ミシェルはこの時、父親を殺害します。しかしその殺害方法は年齢相応の少女には到底不可能なほどに凄惨で不可解な変死だったようです。また、証拠もありません。
「そうだ…パパの幸せを描いてあげる」
この時、ミシェルは何かをキャンパスに描き、具現化したその存在によって父親を殺害したと考えられます。そして父親の血によって「赤いキャンパス」になったのではないでしょうか。
おそらく父を失い、身寄りを失ったミシェルを叔父であるArmand Ollivier(アルマード・オリヴィエ)が引き取ったのでしょう。しかし、叔父が求めたのはミシェルの若い肉体であったと見受けられます。檻の中の遊戯の冒頭を素直に読むのであれば、叔父はミシェルを抱きながら、首を絞め絞殺しています。
あるいはそれが彼なりの狂った愛情だったのかもしれません。若いミシェルを若いままに保ち、自らのそばに置く方法。しかし、そこに異常が発生します。おそらく…その後の叔父の行動を見るに、ミシェルは蘇生したのです。"識られざる幕間"の「素早く抱き寄せ 首筋に熱い接吻」という部分からも見るに、彼女は吸血鬼に近い特性を得ているものと考えられます。
そこで叔父も危機を覚えたのでしょう。ミシェルの力が異常であることに。故に彼はミシェルを完全に殺そうとした。それが「もう一度この手で彼女を…」という部分だと考えられます。そして、彼はミシェルを殺害し、その遺体を用意した棺桶の中に入れて葬ろうとします。
しかし、ここですでに叔父はミシェルの異能に踊らされていただけに過ぎなかったのだと思います。ミシェルは先に得ている何らかの力によって叔父に夢や幻影を見せていたのかもしれません
いずれにせよ、叔父は逮捕された時点で「半狂乱で笑いながら庭に穴を掘っていたところを…」という状態であったため、酷い錯乱状態にあった事は確かなようです。
ミシェルの作り出した「檻」の中で夢を見ているという事を忘れ、狂っていった叔父。それが「檻の中の遊戯」における「忘レモノ」だと思われます。
そして、「絞殺・死体遺棄未遂事件」については、警察がミシェルを見つけた時点ではミシェルは確かに死んでいたのかもしれません。しかしその後"幸運にも"息を吹き返した生存者となったのではないでしょうか。無論、彼女の場合は"幸運"ではなく"必然"なのでしょうが。
そして……彼女は、古い「ミシェル」という肉体を脱ぎ捨てて、転生した。yaneuraromanでは「さぁ、生まれておいでなさいHiver…」という下りがあります。これは、正にミシェルが何らかの黒魔術的な儀式を行い、イヴェール(Hiver)という存在への転化を果たした瞬間なのではないでしょうか。
Hiverという単語が持つ意味は「冬」です。2月4日という冬に転生した者にとっては、その名前はふさわしいものではないでしょうか。しかし彼女の転生は不完全で、正常な転生を行う事はできなかった。
それゆえに死でも生でもない狭間に囚われてしまい、抜け出せなくなったのではないでしょうか。そしてその「右手に神を、左手に悪魔を宿した…」という異能は、「双子の人形」へと転化し、その能力で自らが完全に転生し、生まれてくるための物語を紡ごうとあがいている。
それこそが「Roman」なのだと考えます。
※Hiverは「右手に死を、左手に生を」でミシェルと能力が逆転しています。これは、彼女が転生の際に性転換を行ったために能力自体も逆転したのではないかと考えます。