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このカテゴリの考察記事の一覧
  • 2007年08月02日 01:26 ガリア戦史考:各地の戦い
  • 2007年06月20日 21:37 ガリア戦史考:地域・地名
  • 2007年05月08日 22:55 24冊に増えた予言書
  • 2007年03月17日 12:03 神々が愛した楽園が珊瑚に沈む
  • 歌姫の争いの裏の思惟

    対象楽曲:「沈んだ歌姫」

    この歌を聞く時、どうしても主眼は蒼の歌姫と紅の歌姫の行く末にいってしまいます。
    しかし、このような歌姫同士の争いを起こさせた時の国王アレッサンドロ一世は、
    いったい何を考えていたのでしょうか。

    彼は前王であるモンテフェルトラーノ四世は「突然の崩御」によって国王に座しました。
    明記こそされていないものの、これはアレッサンドロ一世による謀殺をうかがわせます。

    また、我先に、と争う貴族達の様子を見て以下のような不可解なセリフをのたまっています。

    予を産み堕とした…この世界に復讐する為のな…

    つまり、彼にとって、この歌姫同士の争いこそがなんらかの形での「復讐」になりうるわけです。
    では、彼が復讐したかったものとはなんでしょうか?
    まず最初に、「世界」と言っていますが、それはあまりにも抽象的で、対象が広すぎます。

    まずは最初に、このイターニアという国家の状況を考えてみます。

    イターニアのモデルとなっていると思われる史実の中世イタリアではミラノ、ヴェネチア、
    フィレンツェの各都市は神聖ローマ帝国の傘下という名目ではありますが、独立した
    政治的権限をもった都市国家となっていました。

    しかしながら、国王の勅令に、各都市が我先にと自らの権限向上のために相争うところを
    見ると、どうやらイターニアは史実の中世イタリアとは状況が違い、各都市には統括する
    貴族がいるものの、基本的な最高権力は国王にあり、フィレンツェを首都とした一大国家を
    築いているようです。

    ここで、もう一度アレッサンドロ一世のことを考えてみます。
    彼の元ネタになったと思われる人物は、
    フィレンツェ公アレッサンドロ・デ・メディチ(1510-1537)
    ではないかと思われます。フィレンツェを預かるという立場が一致しています。

    このフィレンツェ公は、黒人奴隷、あるいは田舎の農民が母親という説があり、
    通称「イル・モーロ(色黒の意味)」と呼ばれるような肌の色だったそうです。

    「沈んだ歌姫」のアレッサンドロ一世も似たような境遇だったとしたらどうでしょう。
    王家と平民あるいは奴隷との間に生まれた子供。いかに王太子としての立場を持っている
    としても、他にも有力な王位継承権などを持った人物がいたなら、ひょっとしたら
    様々に疎まれ、理不尽な偏見なども受けた可能性すらあります。

    となると、彼が憎んでいる『世界』とは貴族社会というものなのかもしれません。
    そう考えると、彼の行動は理にかなっています。

    まずは権力という餌をぶらさげて、貴族同士を相争わせて力を削いでいきます。
    そして最後に残った者についても、手元に引き寄せたうえで最終的に謀殺してしまう。
    これによってこの歌姫の狂騒に参加したあらゆる貴族に対して大きな打撃が与えられる
    ことになります。

    それこそがアレッサンドロ一世の目的だったのかもしれません。

    彼にとってはジュリエッタが勝とうが、ロベリアが勝とうがどうでもよかったのです。
    全ては遊戯に過ぎぬ」というように、最終的には全てを殺し、滅ぼすつもりだったの
    ですから…

    イターニアのその後については、これまでどの曲でも書かれていません。
    この後、アレッサンドロ一世はひょっとしたら、王政というシステム自体も破壊に
    かかったかもしれません。

    宰相ガレアッツォや寵姫ベアトリーチェも、名前だけが唐突にでてきて、他の歌には
    一切出ておらず、どんな人物だったのかすらさっぱりわからないのが気になりますね。

    ガリア戦史考:各地の戦い

    「聖戦と死神」では複数の国家を巻き込んだ非常に大きな戦争が行われていました。
    ここでは、その戦いを時系列順に並べたうえでの考察を行ってみます。


    01. プロイツェンがベルガへ侵攻・征服

    この物語の大元はフランドル帝国ではなくプロイツェンです。祖国を奪われたアルヴァレスは近くのフランドル帝国に身を寄せます。この戦争は、フランドル帝国に開戦の大義名分を与えてしまった可能性があります。つまり「ベルガ人達のためにベルガを取り戻す」というものを。
    だとすると、ある意味ではアルヴァレスはこの大きな戦争の原因の一端となったのかとも考えられます。



    02. フランドルがプロイツェンへ侵攻・征服

    復讐に燃えるアルヴァレスを擁したフランドル軍はプロイツェンへ侵攻し、征服に成功します。しかし、この時点でベルガはベルガとしてではなく、プロイツェン領の一部として組み込まれています。
    当時のアルヴァレスでは、まだ地位も低く、ベルガの独立をフランドル王へ嘆願することも難しかったのでしょう。この時点ではベルガはフランドルに組み込まれたままです。



    03. フランドルがロンバルドへ侵攻・征服

    アルヴァレスが行うべきことは、異国での地固めでした。十分な地位を得ることで、祖国の土地であるベルガへの干渉権を得ようとしていたのでしょう。そのために彼はロンバルドへの侵攻の際、先陣を切ったものと思われます。戦功を多くあげればそれだけ地位もあがっていくからでしょう。この狙いは見事に当たり、次の悲劇(戦争)を引き起こします。



    04. フランドルがカスティリアへ侵攻・征服

    プロイツェン、ロンバルドとの戦争で頭角を現したアルヴァレスを、フランドルが放置するわけにはいかないでしょう。しかし、何もしないで働かせることも困難。なぜなら彼の原動力は唯一つ「ベルガを取り戻す」だったのですから。
    そこで、目の前にエサをぶらさげてアルヴァレスを動かす事になります。エサは「ベルガの自治権」。アルヴァレスはこれに乗せられ「己の願望を満たすために」カスティリアへ侵攻・征服します。

    Garia_Map003.jpg

    この時の戦い、「アラゴンの戦い」は非常に不利な戦力差でした。アルヴァレス率いるフランドル軍5000人に対し、カスティリアの北方防衛駐留部隊は12000人。実に2倍以上の差です。ましてやフランドル軍はピレーネ山脈を越えるという強行軍を行わなければならず、体力の消耗は避けられません。

    おそらくアルヴァレスは「死んでもいい」存在して扱われていたのでしょう。「黒の教団」の密会から見るに、むしろ戦いの中で「死んでほしかった」存在ですらあるようです。

    しかしアルヴァレスはものの見事に勝利を収め、凱旋します。これにより彼の名声はさらにとどろきわたることになります。「黒の教団」はかつてのアルヴァレスのように祖国を奪われ、復讐に心を囚われたゲーフェンバウアーを刺客として軍へ送り込みます。



    05. フランドルがブリタニアへ侵攻・失敗

    唯一フランドルが失敗した戦争です。楽曲内で語られている戦いは、主に2つあります。

    Garia_Map002.jpg

    05-a. 「カンタベリー平原の戦い」
    こちらは陽動作戦だったものと思われます。これみよがしに第一陣を最短距離でブリタニアへ投入。そちらへ兵力を裂かせたうえで、アルヴァレス率いる第三陣に裏から強襲させるという作戦だったよいうです。

    ※ちなみに第二陣はどこにも記述がなく、第一陣のサポートなどを実施していたものかと考えられます

    あるいは、もっとフランドル側がおろかだった場合、当初はこの戦いのみで押し切るはずだったところ、パーシファルなどの思わぬ苛烈な抵抗に合い、作戦の変更・追加をしたということも考えられます。

    5-b. ホワイトヘブンの戦い
    ドーバー海峡付近にパーシファルなどの有力な騎士が集まっている中、アルヴァレス率いる第三陣は海を渡り、ブリタニア中央部へ直接切り込みます。また、補給もままならない有様だったでしょう。まさに、死地に放り出されたわけです。
    アルヴァレスはこの戦いのさなかに逃げていたブリタニア女王ローザ・ギネ・アヴァロンと出会い、フランドル軍を裏切ります。



    05. 周辺諸国による反乱
    ブリタニアの征服に失敗したうえに英雄とまで呼ばれたアルヴァレスを失ったことで、周辺諸国はこの機会に独立を求め、カスティリアを次々と反旗を翻していきました。
    アルヴァレスにとって惜しむらくは、フランドルが敗北しても、ベルがの土地は「プロイェンのまま」だったということでしょうか・・・

    ガリア戦史考:地域・地名

    Chronicle 2ndのガリア地域は実在のヨーロッパの国名・地域を元にしていると見受けられます。
    以下に、現在のヨーロッパ地図を元に、ガリア地域の地図を作成しました。

    Garia_Map001.jpg

    以下にそれぞれの国名・地域の解説を行います。


    ■ブリタニア王国現「イギリス」(グレートブリテン及び北アイルランド連合)
     ローザ女王が統治する国で、アルヴァレスの亡命先。
     ブリタニアとは、ローマがグレートブリテン島においた属州の一つ。またはイギリスを擬人化した女神の事。

     ブリタニア内の地名と現実の地域

      ・Dover(ドーヴァー):帝国軍第一陣上陸地点。イギリス南東部の港湾都市。
      ・Canterbury(カンタベリー):『Canterburyの戦い』より。イギリス南東部の都市。
      ・Whiteheaven(ホワイトヘブン):アルヴァレス上陸地点。イギリス北西部の街
      ・Grasmere(グラスミア):『Grasmereの戦い』より。
                      イギリス北西部湖水地方の主要都市のひとつ。
      ・Lancaster(ランカスター):アルヴァレスがローザと共に向かった地。
                      イギリス湖水地方の都市の一つ。
    ■神聖フランドル帝国現「フランス」
    キルデベルト6世によって王国から帝国へ国号を変え、ガリア全土を包む戦乱の覇者とならんとした国。フランドルとは英語で言えば「フランダース」。本来はオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域。

     フランドル内の地名と現実の地域
     ・Verseine(ヴェルセーヌ)宮殿:『Verseine休戦協定会談』より。ヴェルサイユ宮殿が元か
     ・Yvelines(イブリーヌ):ヴェルセーヌ宮殿がある地域。
                    現実のイブリーヌはヴェルサイユ宮殿にほど近い地域のこと


    ■ベルガ現「ベルギー」

    アルヴァレスの故郷。プロイツェンに征服された。

     ベルガ内の地名と現実の地域
     ・Welkenraedt(ウェルケンラート):
      アルベルジュとシャルロッテが誓いを交わした丘の付近の森。ベルギー北東部。


    ■プロイツェン現「ドイツ」
    ベルガを征服し、その後アルヴァレスを擁したフランドルによって征服された国家。
    ゲーフェンバウアーの故郷。プロイツェンはおそらくプロイセンが元。(プロイセンはドイツの前身)

     プロイツェン内の地名と現実の地域
     ・Offenburg(オッフェンブルグ):
      ゲーフェンバウアーが家族を失った地。ドイツ西部の都市名。


    ■ロンバルド現「スイス」
    フランドルに征服された国。
    ロンバルド語というものがあり、南スイスから北イタリアにかけての方言群を指す。これに準ずると、ロンバルドの国土は作成した地図よりも南側に長かったのかもしれません。
    (そのほうがフランドル帝国を取り囲む感じになって自然か)
    ■カスティリア現「スペイン」
    フランドルに征服された国。カスティリア(カスティーリャ)は、スペインの歴史的な地名。
    スペイン中央部にあった国家で、現在もスペイン内の2つの州の名前にカスティーリャの名称が残っている。

     カスティリア内の地名と現実の地域
     ・Pureenes(ピレーネ)山脈:
      アルヴァレスが進軍した山脈。実際のフランスとスペインの間に横たわる山脈。
     ・Aragon(アラゴン)平原:
      アルヴァレス率いるフランドル軍5000とカスティリア軍12000が激突した地域。
      スペイン北東の州名。


    ■イターニア現「イタリア」
    一連の戦いには出てこない。「沈んだ歌姫」の舞台。名称はイタリアをもじったものと思われる。

     イターニア内の地名と現実の地域
     ・Firenza(フィレンツァ):紅の歌姫ロベリアの都市。
                     イタリア、トスカーナ州の都市フィレンツェが元か。
     ・Naporta(ナポリ):南都と呼ばれた紅の歌姫の後援都市。イタリア南部カンパニア州都。
     ・Mirana(ミラーナ):蒼の歌姫ジュリエッタの都市。
                  イタリア、ロンバルディア州都ミラノが元か。
     ・Venera(ヴェネラ):水都と呼ばれた蒼の歌姫の後援都市。
                  イタリア北東部ヴェネト州都ヴェネツィアが元か。

    24冊に増えた予言書

    対象楽曲:「Black Chronicle」「黒の予言書」

    「Chronicle 2nd」は「Chronicle」のリメイクのような作品であり、同じ楽曲も多数含まれています。
    しかし、決定的に違う設定がこの2アルバムにあります。

    「Chronicle(以下1st)」では「1冊」だった黒の予言書が、「Chronicle 2nd(以下2nd)」では
    「24冊」に増加しているのです。

    両方のアルバムに含まれる楽曲のページ数と、巻数を以下に比較してみました。

    楽曲名1st2nd
    詩人バラッドの悲劇168P第7巻168P
    アーベルジュの戦い324P第8巻324P
    蒼と白の境界線602P第16巻602P
    雷神の左腕816P第1巻816P
    君が生まれてくる世界裏表紙裏表紙(巻数不明)

    これを見る限り、2ndでは単純に1stの時のページ数に対して、巻数を割り振っただけのように
    見受けられます。しかし、1点だけ問題があります。「蒼と白の境界線」までは順当に巻数が
    増加していっている中、「雷神の左腕」だけは巻数がおおいにさかのぼっています。
    まるで、予言書の最初の物語が雷神の話であるかのように。

    事実。これが2nd最初の物語であったら。そして1stの時の最後の物語であるのなら。
    1stと2ndの予言書は実はまったくの別物なのではないでしょうか。

    同じような歴史を繰り返しながら、違う歴史(本当の最後のページ)を求める者たち。
    1stでは最後のページを見つけ出す事ができないままに最終章まで到達してしまい、
    書の魔獣に食いつぶされてしまったのかもしれません。

    しかしノアだけは終焉の洪水を、箱舟によって乗り越え、次の24冊の予言書の歴史にまで
    到達してしまいます。

    そして2ndにある<ハジマリ>のChronicleこそが、1stで見つけることのできなかった
    「本当の最後のページ」だと考えています。

    神々が愛した楽園が珊瑚に沈む

    対象楽曲:「神々が愛した楽園」「珊瑚の城」「海の魔女」

    「神々が愛した楽園」は、ベルアイルというゲームのタイアップ曲です。そのため、歌詞の内容も基本的にはベルアイルの流れをもっています。しかし、「少年は剣を…」のジャケットには、クロニカが書かれているなど、このCDはゲームのタイアップという意味だけでなく、サンホラの各楽曲の世界とのつながりも持った、二重意味を持つ歌であると考えられます。

    そこで、「珊瑚の城」を持っている人がいたら、この二つを聞いてみてください。この二つのイントロで流れているフルートは、まったく同じ旋律なのです。これはどういうことでしょうか。

    「神々が愛した楽園」は、かつて楽園と呼ばれた地が戦争によって荒廃してゆく様を描いています。そして、「珊瑚の城」は死者達が輪廻転生を待つ、海の底に沈んだ城を歌っています。さらに「珊瑚が眠る樹海へと 楽園は堕とされた」と歌っています。これはつまり、戦争にて荒廃した「楽園」が海中に沈んだ事を示しているのではないでしょうか。

    本来であれば、「楽園」として死者の魂が行き、転生を待つ事ができたはずであった地。しかしそこは崩壊し、逆に死者の魂を縛り付ける「珊瑚の城」となってしまった。そう考えると、悲劇ですね。

    「海の魔女」にて、死した後セイレーンという魔物と成り果ててしまった蒼の歌姫ジュリエッタも、この珊瑚の城に囚われて、生きたい、歌いたいという強い思い故に魂が歪んでしまったのでしょう。

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