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エトワールから澪音に至る道

対象楽曲:「澪音の世界」「星屑の革紐」

「星屑の革紐」にはエトワールと呼ばれる少女がでてきます。この少女は生まれつき目が悪く、じきに目が見えなくなってしまう事を宣告されています。そして、盲導犬としてPleut(プルー)が彼女の元に連れてこられます。

まず結論から言ってしまえば、私はエトワールは澪音だと思っています。
確かに名前も違いますし、性格付けも違うように見えます。しかし、ちゃんと理由はあります。
以下には、私なりに「星屑の革紐」の物語を時系列別に並べてみます。
また、この物語も、後の物語が「澪音の世界」だとするならば、【祝い】が【呪い】になったという皮肉が感じられます。

■1. エトワールの誕生から母親の死 
まず、母親が、「星」の名を意味するエトワールを生んでいます。この時点では、
彼女は目が生まれつき悪い事などはわからずに、純粋に【祝い】だったと考えられます。
その後、母親は死去します(二人と一匹 という記述から)
ここで、母親はプルー(Pluet)として転生していたのだと思います。(理由は後述)それゆえに、エトワールにとってプルーは"どこか懐かしい"温もりだったのではないでしょうか。
プルーはエトワールにとって「妹」であると同時に「母親」なのだと考えます。

■2. プルーとの出会い
エトワールの家に盲導犬としてプルーが連れてこられます。
この時点で、エトワールは自分の視力がたどる運命を知っており、自分の名を、そして目を嫌っています。そして、好きになれない自分を責め、父に、母に謝罪をしています。
つまり本来【祝い】であったはずのエトワールという名は、彼女にとって【呪い】と化しています。

プルーを連れて外を歩く練習をはじめますが、もちろん最初はうまくいくはずもありません。彼女は転んだりして、孤独を感じています。
それでも彼女はプルーと共に過ごし、じょじょにお互いのことをわかりあっていきます。"空白の時間"というのは、プルーがエトワールの家にくるまでの期間、でもありますが同時に「共に過ごすことのできなかった親子としての空白の時間」ではないでしょうか。

■3.そして死別
"急に吹いた突風に"二人は引き裂かれます。この時、曲を聴くと何かが衝突したような音の後、犬が吠えて、その後悲しそうな鳴き声が入ります。
これを見ると、「エトワールが何か(馬車、車などの類)に轢かれたのではないか」と考えられます。プルーが轢かれたのであれば、その後あんなにも激しく吠える事はできないでしょう。
この時、エトワールは自分の無力を謝りながら、それでもプルーに好きだと言い、死んでいきます。

この時、プルーは自分の存在が何であるのかを夢で見ます。それは、エトワールが生まれてくる瞬間。死したエトワールを再び"生み出す"という幻想。ここが、プルーがエトワールの母の生まれ変わりであると判断した理由です。母の魂であったからこそ夢の中で「あなたが産まれてきた朝の追憶」を見る事ができたのだと考えます。

■4.魂の邂逅と再度の誕生
「忘れないよ...」の部分は、歌が2重になります。ここは、エトワールとプルーの魂が出会い、融合したような印象を受けます。しかし、この時、"暗闇に煌く世界を"の裏では、"苦しに揺らめく世界を"と言っているように聞こえます。
エトワールは自らの目も、名も疎み、苦しみの世界に生きました。ならば、彼女にとって死とは安らかなる解放だったのではないでしょうか。

(「母と歩いた」とも裏で言っている事から、魂の融合によりエトワールもプルー=母である事を悟っているのではないかと考えられます)

プルーは「何の為にやってきたのか...最後に判って良かった――」として、死に向かいます。
彼女が死の際に行ったのは出産です。ではここで産まれてくるのは何でしょう。彼女が母親として産みなおすもの、それはエトワール以外にはないでしょう。

つまり、プルーの腹から産まれた「黒銀の毛並みを持つ仔犬」は、エトワールの転生した姿なのではないでしょうか。エトワールからしてみれば、ようやく安息できる死を得たのに、再び産まれ、生きるという残酷な苦痛を与えられたわけです。これは、エトワールがまるで死神のような印象を持つ「澪音」へと変わり行くに足る理由ではないでしょうか。

つまり、私は前述でエトワール=澪音としてることから、「エトワール=澪音=黒銀の毛並みを持つ仔犬」だと考えています。
澪音の"本体"は「黒銀の毛並みを持つ仔犬」であり、そこに宿った魂としてのエトワールこそが、「澪音」という少女として実体化しているのだと思います。
ちなみに、この仔犬は「悼みの雨が降り注ぐ朝」に産まれています。そのことから、自らの名を嫌っていたエトワールは「雨」(Rain)と名乗ったのではないでしょうか。

幸せになってほしかったはずで付けた名前、幸せになってほしくて再度産み出した母親。それは両方とも純粋な【祝い】であったはずです。しかし、それは皮肉にも【呪い】としてエトワールに降り注ぎ、彼女を「澪音」という存在にしてしまったのではないでしょうか…?

「星屑の革紐」の最後には「《物語》の翼は地平線を軽々と飛び越えるだろう」という記述があります。これは、四番目の地平線である「Elysion」を飛び越えて、PicoMagicReloadedの「澪音の世界」へ到達するのか、あるいは五番目の地平線である「Roman」を飛び越えて、次なる地平線に到達するのか。

どちらともとれますが、「澪音の世界」がいずれの地平にも属しておらず、"新しい地平線に描かれる物語"であると「...Reloaded」で語られている事から、いずれ澪音についてもっと詳しく語られる地平線が生まれるのではないでしょうか。期待してみたいと思います。

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