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ABYSS〜奈落幻想物語組曲〜

対象楽曲:「Ark」「Baroque」「Yield」「Stardust」「Sacrifice」

ElysionのCDのブックレットを見れば一目瞭然なのですが、「Elysion〜楽園幻想物語組曲〜」には「ABYSS〜奈落幻想物語組曲〜」という裏タイトルとでも言うべき副題がつけられています。
これは、上記5曲の頭文字を繋げた単語であり、エルの楽園などでもその事が示唆されています。
(「挟み込まれた四つの楽園に惑わされずに垂直に堕ちればそこは……ABYSS」という部分)

この5曲は、全て舞台設定、登場人物も異なります。Arkは、脳外科手術などが行われている模様であり、きわめて高度な科学力の存在を感じさせます。そしてそれとは逆にSacrificeではあたかも中世の魔女狩りの時代かのような、趣が見受けられます。

それぞれの登場人物の少女達の間にはなんら繋がりがありません。しかし、彼女らが誰かを殺害しているという点だけは全てにおいて共通しています。そして、その殺害の前後に彼女らは仮面の男を見ます。

この仮面の男とは、「エルの楽園」で死去した"アビス"です。そして彼は、少女達を"楽園パレード"へ連れ去ります。彼女らが仮面の男によって選定された理由はなんでしょうか。
「笛吹き男とパレード」には「心に深い傷を負った者にとって」「心に深い闇を飼った者にとって」という下りがあります。

5曲のほとんどは、狂愛の果てにその愛の対象を殺してしまうという狂気が見受けられます(Sacrificeのみ例外)。基本的には、そのような狂気と絶望を持った者達の前に、仮面の男が現れて、連れ去っていくのでしょう。

ですが。仮面の男が本当に探しているのは彼女達ではない、と考えられます。
この5曲は、すべて最初に「彼女こそ、私のエリスなのだろうか…」という語りがあります。これを見るに、仮面の男が真実探しているのは、すでに失われた彼自身の娘なのです。
失われた娘の魂、あるいはその転生した姿を求め続け、時間も空間も超えて様々なところに出没する幽鬼と化してしまっている悲しい存在こそが、仮面の男アビスの本質なのだと見受けられます。

また、Elysionは第4の地平線ではありますが、この5曲に関しては、地平線からは独立した楽曲であると私は考えています。地平線から外れた別次元に存在した5人の少女を、仮面の男が「楽園」という地平線の中に引きずり込んだ、と解釈しています。

それゆえに、私はRomanなどの他アルバムの考察を行う場合についても、エルの楽園、天秤などは他楽曲ともリンクさせて考えていますが、この5曲はリンク対象外の独立楽曲として、今後も考察を行っていきます。

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