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レコンキスタの裏に在りし物語

対象楽曲:「争いの系譜」「石畳の緋い悪魔」「侵略するものされる者」

個人的に、「聖戦のイベリア」の物語の流れを曲順にまとめてみました。
文章は比較的断定的に書いてありますが、これは短くまとめるためであり、もちろんこれが
正しいと言っているわけではありません。あくまで個人的な見解です、ご了承ください。


■争いの系譜■
キリスト教によるスペインのレコンキスタ(再征服)運動(※注1)の時代 戦火に沸くイベリア半島を、見届ける老賢者と弟子の3姉妹。

あるところにいたイスラム教の父とキリスト教の母(※注2)という異宗教を信仰する両親を持った《美しき夜の娘》ライラ
レコンキスタ運動の激化により家庭の環境も悪化していく。キリスト教をとるのか、イスラム教をとるのか。
やがてライラはそんな家庭に耐えかねて家から逃げ出す
その折、彼女はどちらかの勢力からの攻撃を受け、街の地下に隠された封印に追い込まれる
そこにはかつて古の聖人と蒼氷の石によりよって囚われた悪魔が封印されていた
男はライラに名を尋ね、ライラもまた男に名を尋ねる。だが男の名は少女に聞き取ることはできずシャイターン(悪魔)(※注3)と呼ぶこととする。
男は、少女と契約し、自由の身を得る。それと同時にライラは人としての正常な死を迎える事ができない毒に蝕まれ《美しき夜の娘》から《焔と契った少女》となる


■石畳の緋き悪魔■

シャイターンはライラに問う。君が憎むものは何か。自らを解き放ってくれた代償としてその全てを退けよう、と言う。
だがライラは誰を憎めばよいのか分からない。キリスト教か?イスラム教か?それとも争いそのものか?

■侵略する者される者

やがてレコンキスタ運動は、キリスト教徒によるグラナダ侵攻にまで達し、終焉期を迎える。
その中で彼女の両親はそれぞれ敵対する宗教に殺されてしまう(※注4)。
シャイターンは問う。なぜ同じ神を信奉するはずの2つの宗教(兄弟)(※注5)で争うのかと。
ライラは憎む相手をついに見つける。
ライラはシャイターンと共に、両軍の前に立ちはだかる。
畏レヨ、汝、『悪』ノ名ヲ(※注6)、と。
やがて歴史にはその名は残らぬ悪魔(シャイターン)は去り、離散の老賢者と放浪の三姉妹は収束へと向かうイベリア半島の聖戦をただ、眺め続ける


※注1:「レコンキスタ運動」
 実際に中世スペインであったキリスト教圏とイスラム教圏の長き戦争。かつては「国土回復運動」と訳されたが近年は「再征服運動」とされる。
718年から1492年にかけて行われ、グラナダ王国のアルハンブラ宮殿(アルハンブラは赤い城の意)が陥落したことでレコンキスタ運動は終結した。

※注2:「イスラム教の父とキリスト教の母」
 「侵略する者〜」にて父を奪ったのは「啓典の民」
 「啓典の民」とはイスラム教から見たユダヤ、またはキリスト教信者のこと
 そのため、ライラの父親はムスリム(イスラム教徒)と考えられます
母親については、単純にムスリムの可能性あはるが、それだとライラが家から逃げ出す事の理由がつかない気がします。そのため今回はキリシタンとして考察します

※注3:「シャイターン」
 アラブにおけるジン(精霊、魔人)の中で上位から第三位の存在。ライラがこの名を使ったということ、また《美しき夜の娘》時代の彼女がベールを巻き、隠していることからも彼女はアラブ圏の生活を主にしており、ややイスラム側であると見受けられます

※注4:「〜それぞれ敵対する宗教に殺されてしまう」
 注1に同。母親の《聖典の兄弟》とはコーランを信じるイスラム側の人間達のことを示していると考えられます

※注5:「同じ神を信奉するはずの2つの宗教(兄弟)」
 イスラム教とキリスト教はその原点にまでさかのぼっていき、突き詰めれば信じる神は同じです。
(両方とも預言者アブラハムから分かれていった宗教)
このCDは、この両教の戦いを、聖書における最初の殺人であるカインとアベルの兄弟殺しにかけているものと思われます。

※注6:「畏レヨ、汝、『悪』ノ名ヲ」
 いがみ合う2つの勢力をまとめるのに一番てっとり早い手段は何か。それは両者に対して絶対的な『悪』=敵が現れる事ではないかとも考えられます。
シャイターンとの戦いでキリスト教とイスラム教が協力したのかは不明ですが、しかしその後、イベリアの戦争は終焉に向かっている模様です。

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