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「緋い悪魔」の本名は…

関連楽曲:「争いの系譜」

「聖戦のイベリア」で出てくる《悪魔》シャイターン。
彼が作中で呼ばれている「シャイターン」はあくまでも《美しき夜の娘》であるライラが
勝手にそう呼ぶことにしただけの存在です。

※ちなみに「シャイターン」はアラブにおけるジン(精霊、魔人)の中で上位から
 第三位の存在です。固体名ではなく、その階級を示す言葉になります。

では、彼の正体は何なのでしょうか?
彼は、ライラの問いに、「異国の響き」を持つ言葉で答えています。ここが彼の本名を
解き明かすキーワードと考えます。

何度もリピートして、該当部分をかろうじて聞いてみるに、彼は
「シャルタン・マック・ラース」などと言っているように私には聞こえます(後ろ2つの音節は曖昧)
これはいったい何を示すのでしょうか。

色々な神話などを調べていきますと、ケルト神話でかの有名なクー・フー・リンの父
として「Sualtam Mac Roth(シャルタン・マック・ロイ)」という名前が浮かび上がってきます。

※クー・フー・リンの父親は一般的に太陽神ルーですが、「Sualtam Mac Roth」は
 クー・フーリンが生まれた時に、彼女と結婚していたのが「Sualtam Mac Roth」で
 あり、育ての親に相当します。

また、彼は、「アルスター伝説」というクー・フー・リンを主役として据えた物語の中で、
アルスターという地を追放されてしまった統治者「Fergus Mac Roth(フェルグス・マック・ロイ)」の
兄弟である、とされています。
※フェルグスは、エクスカリバーの原型とされる「カラドボルグ」の所持者です。

ケルト神話における人間は、一種の「神」です。女神ダーナの神族である「ダーナ神族」
(トゥアハー・デ・ダナン)を駆逐した「ミレシアン」は神でありながら、ケルト民族の祖である
「人間」としての性質を持ちます。

クー・フー・リンは半神半人の存在として一般的にかかれますが、「人間」とされる彼女の
母親「Dechtire」も、鳥の姿になって一時期来世に飛び立ったり、人間らしからぬ行動を
とります。

そう考えれば、「Sualtam Mac Roth」が神性を持ち、長期にわたって封印されていた点も
あながち間違いとはいえないと考えます。または、ライラに見つけられるまで、それこそ
「時間ニ置キ去リニサレタ」というように、彼の「時」自体が止められていたのかもしれません。

さて、ケルト神話はキリスト教にとっても、イスラム教にとっても異教です。他の宗教の
偉大な人物などを貶めて断罪するのは宗教がその地を支配する際によくやる手です。

彼もその犠牲者だったのではないかと考えられます。
そして、自らの名を名乗ったところ、正に貶められた身分の呼称である
「シャイターン」(悪魔)と呼ばれ、自らを皮肉げに笑ったもの、と私は考えます。

というわけで、ひとまず私的なシャイターンの本名は「Sualtam Mac Roth」という
結論となりました。正直、異論は多々あるかと思うのですがひとまず今回はここまで。

ちなみに、「石畳の緋い悪魔」にて「名前サエ忘レテイタ」という記述があり、ここで
語っているのが本名ではないという説も考えられると思われます。しかし、その後に
「君ガ呼ンデクレル迄ハ」という記述があります。
これは、ライラが彼の名を問うことによって、名を思い出し、語った、ということであると
私は解釈します。

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